新型コロナウイルス(COVID-19)は実体経済を確実に蝕んでいますが、昨日(20203/24)より株式市場を中心に反発しています。
各国が協調して財政政策・金融政策を実行しているからだと思われます。
とはいうものの、リーマンショックのときはその後に2度の暴落を経験しました。
その頃を振り返りつつ今後を想像しておくと、相場の動きにも対応しやすくなるのではないかと思います。
目次
リーマン・ショック時の日経平均の動き
2008年は波乱の年でした。
2008年3月16日に、アメリカ5位の投資銀行だったベア・スターンズが事実上の破綻となります(ベア・スターンズ・ショック)。前年にフランスのBNPパリバがファンドの解約凍結となるなど株価が不安定な状況ではありました(パリバ・ショック)。
いったん株価が回復するも、同年9月15日に名門投資銀行のリーマン・ブラザーズが破綻(リーマン・ショック)しました。
(チャートはTradingView)
9月18日にG7協調介入が発表され一時株価が持ち直します。
しかしその効力は数日しか持たず、奈落の底に転落します。
協調介入開始の発表によって一時12,264円まで回復した日経平均は約1ヶ月をかけて6,995円(10月29日)まで下落したのでした。
G7が頑張っても下げる時は下げてしまうようです。
私にとっても悪夢だったので覚えているのですが、この間も政府・中央銀行はいろいろ手を打ち、特に口先介入は毎日のようにありました。それでも抑えられない下落・・・
我らが日本銀行が10月31日に利下げを断行するなどして、一時9,325円の高値までいきました。しかしその後、またしてもズルズルと下げていき半年後に2番底を迎え6,971円をつけました(最初の底値を下回りました)。
値動きをまとめると
- リーマンショックから協調介入発表の効果:11,301円 → 12,264円(+8.5%)
- 協調介入発表から底値:12,264円 → 6,995円(-43.0%)
- 日銀の利下げから戻り高値:6,995円 → 9,325円(+33.3%)
- 戻り高値から2番底:9,325円 → 6,971円(-25.2%)
※若干のタイムラグはあります
直近の株式市場
昨年末に中国で初めて新型コロナウイルスの症例が報告され、それ以来株式市場は冷水を浴びせられた格好です。
- 2019年12月31日 中国で最初の新型コロナウイルス症例の報告
- 2020年2月13日 日本(神奈川県)で初の新型コロナウイルスの死者
- 2020年3月4日 FRBが0.5%の緊急利下げ
- 2020年3月12日 世界中で感染者が増えている状況をうけ、WHOはパンデミック宣言(日経は19,301急落から16,835円まで急落)
- 2020年3月16日 G7による電話会議
- 2020年3月23日 FRBによる無制限の量的緩和を行うと発表 (その後19,660円まで回復)
(チャートはTradingView)
リーマン・ショック のときと似ているようなそうでもないような。。当時に比べ下落と上昇のスピードが速く、値幅も大きいです。
財政、金融政策の発表を受けて株式市場が戻った19,960円を起点とし、リーマン・ショックと同じ比率で株価が動いたらどうなるのか。
ちなみに下記のサイトに国別の人口あたり感染者数・死亡者数の推移があります。
これによるとまだまだ感染者数は欧米を中心に増加を続けています。
これからアフリカでの感染の話題が出てくるはずで、まだまだ予断を許さない状況は続きます。
中国ではすでに危機は去ったような報道がなされていますが、どこまで本当かやや疑わしいとも思います。
中国はコロナ収束をアピールするために、企業に稼働をせかしてるって話を聞きました。3月売上は昨対比で+10%という現地企業もある一方で、正常稼働できていない企業も相応にあるらしい。全体では稼働20%くらいというアナリストもいました。
— からんころん@投資 (@cc_workinv) 2020年3月24日
今後の経済指標は要注意で、これがキッカケに2番底になるかも
リーマン・ショックと同じパターンで日経平均が動いた場合
今回のショックはリーマン・ショックと3.11の大震災をあわせたような状況になる、という話もありますが、目安としては下記のような値動きでしょうか。
(チャートはTradingView)
想定値動きは・・・
- 協調介入発表からの底値(5月あたり?):19,660円 → 11,200円(-43%)
- 調整による戻り高値(7月あたり?):11,200円 → 14,900円(+33%)
- 戻り高値から2番底(9月あたり?):14,900円 → 11,200円(-25%)
記載している今、ダウは大幅に上げていますので、これからどうなるのか引き続き注視が必要です。
(チャートはiFOREX)
下記のツイートのとおり、あまり長くは続かないのでは、と思っていますが。。
今まで上げていた小売が下げて、まだ人の動きが制限されている(しかも実際にいつまでかはわからない)航空が戻してるところを見ると、ただの調整なのかなって思ってしまいます
— からんころん@投資 (@cc_workinv) 2020年3月24日
考慮すべき要素
”官”の買支え
日本の多くの上場企業(日本銀行含む)が3月決算を迎え、その後決算処理を行います。その際、保有している有価証券(株式など)の時価評価を行います。
仮に保有している株式の価値が下落した場合、決算において減損処理(損失計上)することになり業績が悪化します。
そうした状況を避けるために、少なくとも3月31日までは日本銀行が強硬に株式市場を買支えるのではないか、という憶測が生まれます。
この憶測が外れていなければ、少なくとも3月いっぱいはこれ以上の下落はなく(むしろ上がる?)、次の下落は4月以降になるのではないでしょうか。
実体経済へのダメージ
リーマン・ショック時より値動きが激しく、連日過去最大の上げ幅・下げ幅を演出しています。
当時は人の移動が制限されるようなことはなかったのですが、今回はいきなり実体経済が痛んでしまいました。今後は金融に波及する可能性すらあります。
観光業などは3月大体赤字ではないでしょうか。現預金が少ない会社はこのペースでいくと数ヶ月で破綻する可能性もあります。そうなると、お金を貸している銀行は資金を回収できず(当然、想定していた利息収入もパー)、銀行の資金繰りも危うくなります。
現預金が少ない会社は規模の小さいところでしょうから、そういう中小企業が順次危うくなります。
また、そういう会社に融資しているのは地銀が多いので、地銀から順次危うくなり、まさにボトムアップで危機が広がる可能性があります。
今後の対応案(買っても良さそうな業界)
今後の見立てを正とするならば、現在は売り場到来、という状況です。
しかし上げの勢いも激しいのでなかなか勇気が湧かない・・・
そんなときは長期的に持つ覚悟で、大きく下げても大丈夫だという範囲内で買っていくのも手だと思います。
長期的な目線で
長期的に持つ(買い下がる気持ちで少額ずつ買っていく)観点でいえば
- 半導体:5Gの期待で将来的には上がっていくことが想定されます。現在の工場閉鎖がどの程度の期間続くかによって、株価の回復タイミングが変わると思われます。
- 航空、鉄道:今でこそ人の動きはないですが、経済が正常化すれば当然財務状況も改善されます。現状、いつまで渡航禁止が続くかによって、株価の回復タイミングが変わると思われます。ただし、手元キャッシュが弱いと破綻リスクもあるかもしれません。
短期的な目線で
直近でも値上がりが期待できる業界でいえば
- 食品:これは今時点でも強いと思われるので、下げたら買い、で良いように思います。
- 小売(スーパーマーケット、薬局):これは今時点でも強いと思われるので、下げたら買い、で良いように思います。
いまは調整的に下げていますが、四半期レポートなどが出ればまたあげるのではないかと思います。
とはいうものの、株式市場全体の雰囲気が悪くなれば一緒に売られる可能性はありますので、ロットには注意が必要と思います。
昨年から私はiFOREXで短期トレードを行っており、日々の雑感(本当に感想ですが・・・)を書いていますので、参考になれば(ならないかも)。
最後に
このような相場で一番大事なのは生き残ることです。私はリーマン・ショックでなけなしの奨学金を溶かしてしまいました。ちょっと安くなったから買ってみよう、とやると意外と沼にはまります(というかハマってました)。
リーマン・ショックのときは、「もうこれで悪材料は全て織り込んだ」と楽観してから「やっぱりダメだった」と値を落としていたので油断は禁物です。
退場しなければ何度でもチャンスは巡ります。
そしてリーマン・ショックと違って、今回は命の危険もあるのでまずは健康第一で。
元気があればなんでもできる、と偉人は言っていました。
各国のバラマキ政策もあるので、着実に次のバブルの種もまかれています。いま資産が目減りしなければチャンス到来です。